FFPの新ルール
新しいFFPが導入され、獲得と放出の差分を€100m以内に抑える必要があると噂されているが、実際はどのようになっているのだろうか。今回はFFPの中のこの項目だけに絞って調べた。
UEFAのレギュレーション
https://www.uefa.com/MultimediaFiles/Download/Tech/uefaorg/General/02/56/20/15/2562015_DOWNLOAD.pdf
まず、最新のFFPのレギュレーションが発行されたのは2018年の5月。そして、このレギュレーションが効果を持っているのは一部の例外を除き、2018年6月1日からであるとされている。今回取り扱う項目はこの例外には含まれない。
そして、今回扱う項目が明記されているのは、第62条3項。
ライセンス保持者が指標1から6に記載されたいずれかの条件を示した場合、指標に違反しているとみなされる。
さらに、その内指標6が今回取り扱う項目。
指標6: 選手移籍バランス
ライセンス保持者がライセンスシーズン中に終了するすべての選手登録期間において、€100mを超える選手移籍赤字を報告する。
これに関連して、登録期間中の選手移籍バランスは以下のネット額として計算される。
・すべての新規そして既存の選手の登録に関する各選手を獲得するための支払われたあるいは支払われる総費用。
・選手の登録を譲渡するための受け取られたあるいは受け取る総収益。(直接処分費用。)
生じた総費用が登録期間中に生じた総収益を上回る場合、クラブは選手移籍赤字を持っている。
この指標6に関しては、2018/19シーズンの緩和措置に関する記載が見られなかったため、今夏ではなく、2018/19シーズンから効果を持っている。
そして、違反した場合の処置に関しては、第63条に記載されている。
1 ライセンス保持者が第62条3項のいずれかの指標に違反していた場合、締め切りまでにUEFAの行政機関に伝えられた形式で予想される損益分岐情報を用意、提出しなければならない。
2 予想される損益分岐情報は報告期間Tの法廷決算日の直後から始まる12ヶ月間(以下: 報告期間T+1)をカバーしなければならない。
つまり、違反してすぐに処罰を受けるわけではなく、追加で情報を提出しなければならなくなる。例えば、2018/19シーズンには通常、2016年、2017年、2018年の情報を提出するが、第62条3項に違反した場合には、2019年の情報も提出する必要が出てくる。
UEFAのToolkit
http://www.jalgpall.ee/docs/2018-FFP_Toolkit_2018_EN.pdf
指標の使用はリスクベースアプローチの一部であるが、特定の「警告サイン」を示すライセンス保持者はより拡大された要求の対象になる。
指標6: 選手移籍バランス
ライセンス保持者は選手登録期間に関して、選手の移籍のために補足パッケージTR.01をすべて記入しなければならない。
ライセンスシーズン中に終わるすべての選手登録期間に対して、選手移籍赤字が€100mを超えた場合には、ライセンス保持者は指標6に違反している。
入ってくる選手は次のように定義される:
・「入ってくる選手」とは定められた選手登録期間(例: 移籍市場)の任意の時点にクラブに加入あるいは登録(ローンも含む)されたプロの選手のことである。これは、契約切れの選手、ローンから戻ってきた選手、そして最初のプロ契約を結んだユース選手の登録も含んでいる。
該当する登録期間中に加入したすべての選手の登録に関して以下の情報をカバーする必要がある。
(一部割愛)
・移籍日: 獲得したクラブに選手の登録が移された日付。国際移籍の場合、この日付はdd/mm/yyyyの形式でFIFAのTransfer Mathcing System (TMS)に加入が登録された日と同じでなければならない。
・生じたコスト: 選手登録期間中に生じた選手登録の獲得にかかった移籍金、支払われたあるいは支払われる合意された移籍費用、条件付きの費用、連帯/トレーニング貢献金。このバランスは自動的に計算される。
条件付きでない金額: 選手の登録を永久的にあるいはローンで移す元のクラブに対して条件によらず支払われたあるいは支払われる金額。
条件付きの金額: 選手登録期間中に実現された選手の元のクラブとの合意された条件付きのすべての金額。まだ実現されていない金額も含む。(記されるが、生じた移籍金には含まない。)
トレーニング補償と連帯貢献金: 移籍に関してトレーニング/連帯貢献金として支払われたあるいは支払われる合計金額。
その他の直接費用: 選手の登録譲渡に関してクラブから第三者に支払われたあるいは支払われる合計金額。ただし、他のフットボールクラブや代理人に支払われたあるいは支払われる金額は除く。
代理人手数料: 選手の登録譲渡に関して代理人や仲介人に支払われたあるいは支払われる合計金額。これは不測の支払いを除き、関係する選手のためにクラブが代理人や仲介人に支払われたあるいは支払われる金額を含む。
受け取りに関してもほぼ同様であるため割愛。
基本的には、上記のすべての金額の合計がここでの移籍金とみなされるが、まだ実現していないアドオンに関しては含まない。
まとめ
・2018年夏から始まった制度。
・選手登録の問題であるため、支払い、発表のタイミングは関係ない。
・違反したとしても、それが直接処罰に結びつくわけではない。
・基本的にアドオンは計算に含まない。